友達は居ないわけじゃない。 いじめを受けているわけでもない。 成績が悪いわけでもないし、親や教師にも叱られたことなどほとんど無い。 ただ、あたしは何かに絶望していた。 あたしは、アフリカとかそういう貧しい国の人から見たら、幸せ者だろう。 それでも、何かに……… あたしは希望とか夢とか、そういう話とは縁が遠かった。 芦屋優里、16歳。 あたしはどこにでも居るような、ただの女子高生だ。 ただ、この世の中に疲れ切っているという、それだけのことで。