あたしは真新しく出来た腕の傷を眺めた。 まだ乾いていないそれは、赤い一本の細い線となって、糸ミミズのようにあたしの腕に走っている。 そんなあたしの右手には、最近買い替えた百均のカッターナイフ。 チキチキ……… 刃を伸ばす音が、薄暗い部屋に響いた。 あたしは鈍くぎらつくそれを、腕に当て、滑らせた。 また、新しい線が出来る。 痛みはある。 けれど、 あたしがあたしで居るためには、こうするしか無かった。