「歌恋、大丈夫だから。インフルエンザじゃあるまいし。
神経質に考え込まなくても、いんだよ」
冷却シートのフィルムをはがして、幹太のオデコに貼り付けた。

「歌恋がそんな顔してどうすんだよ?」
あたしのオデコに軽くデコピンをした。
「いたっ!」

「プッ。
歌恋、変な顔。」

痛いと言うのに、沢田君は、あたしの顔を見て笑う。

「酷いよ…陽介。」
あんまり楽しそうに沢田君が笑うから、あたしまで笑ってしまった。

そんなあたしを見て
「そうそう。歌恋は笑顔じゃなきゃ。
そんな顔が、病気した子供に安心感を与えるんだぜ?」

「有難う、陽介。」
沢田君の唇が、そっと触れる。