「歌恋~!」

声のする方を見ると、幹太が走ってきた。

「どうした、幹太?」

読みかけの週刊誌を閉じて幹太の方を見た。

「いたよ?

歌恋の好きな、沢田お兄ちゃん。」

「ええっ!!」

本屋中に響き渡る声を出してしまい、慌てて口を塞いだ。

「ほら、そこ!」

幹太も何故か興奮して、あたしに喋る。
ゆっくり、幹太の指先を見たら、沢田君が、こっちに歩いて来てる!

うっそ!!

てか、何で沢田君がここにいる訳!?

こんな偶然有っていいの!?

一生分の幸運使ってない!?