ヤクザと執事と私 1



「この部屋でおとなしくしとけよ!」



男が部屋から出て行った。


どんな奴が私を誘拐したのか見ようかと思ったが、視界がぼやけてて、はっきりとは見えなかった。




部屋の中を見渡すと、コンクリートむきだしの壁で、どこかの廃墟の一室のようだ。



私の隣にはサブも立っていた。



「サブさん、大丈夫ですか?」


私は、視界が元にもどるにつれて、サブが頭から少し血を流しているのに気がついた。



「ああ、大丈夫。・・・あいつ、思いっきり殴りやがって・・・」



サブの傷の手当てをしてあげたいけど、私もサブも両手は背中側で縛られたままなので、どうすることもできない。




一応、サブと2人でいろいろ試してみたが、やっぱり両手は自由にはならなかった。


「まいったな・・・」


サブが大きなため息をつく。


「・・・サブさん、私達が連れてこられた理由わかりますか?」


念のためサブに聞いてみる。