「この部屋でおとなしくしとけよ!」
男が部屋から出て行った。
どんな奴が私を誘拐したのか見ようかと思ったが、視界がぼやけてて、はっきりとは見えなかった。
部屋の中を見渡すと、コンクリートむきだしの壁で、どこかの廃墟の一室のようだ。
私の隣にはサブも立っていた。
「サブさん、大丈夫ですか?」
私は、視界が元にもどるにつれて、サブが頭から少し血を流しているのに気がついた。
「ああ、大丈夫。・・・あいつ、思いっきり殴りやがって・・・」
サブの傷の手当てをしてあげたいけど、私もサブも両手は背中側で縛られたままなので、どうすることもできない。
一応、サブと2人でいろいろ試してみたが、やっぱり両手は自由にはならなかった。
「まいったな・・・」
サブが大きなため息をつく。
「・・・サブさん、私達が連れてこられた理由わかりますか?」
念のためサブに聞いてみる。


