「おい、レナを持ったまま付いてきてくれ。」
真木ヒナタは、レナを抱えたままの大和に声をかけると、すぐに部屋を出て、アパートの前の道路に路駐してあった1台の車へと向う。
レナを抱えた大和と龍一も、すぐに真木ヒナタの後を追いかける。
真木ヒナタは、道路脇に転がっていた石を拾うと、その石で車の運転席の窓を叩き割った。
静かな深夜の街にガラスが割れる音が響く。
いくつかの窓の明かりがつくのが見えたが、誰も家の外へは出てきはしない。
当然だ。
ここでは、意味のない正義感がすぐ死に直結する街だった。
やられた方は、運が悪かったと思うしかない。
真木ヒナタは、割れた窓からドアを開け、映画のように鍵をもっていない状態で見事にエンジンをかけた。
「乗れ!」
その真木ヒナタの様子を関心したように眺めていた大和と龍一に声をかける。
大和と龍一は、レナを抱えたまま、急いで車に乗り込んだ。
そして、乗ると同時に真木ヒナタは、車を病院へと走り出した。


