「とりあえず、髪は短く切るしかないよ。もし切るなら、私がやってあげるよ。こう見えても昔、美容師をしていたことがあるから、腕は保証するよ。」


ハルさんが私に腕をまくってみせる。



「だったら、わしが、男物の服を持ってこよう。」


シゲ爺が自分のブルーシートの家に戻っていく。


「清潔な服を持って来るんだよ。」


ハルさんが、戻っていくシゲ爺に声をかける。


シゲ爺は後ろを向いたまま、手だけをあげ、わかったと行動で示す。



私は、髪を切ることには少し抵抗があったが、今までの私と決別する意味ではいいかなと思った。


「うん。わかった。」


私は、ハルさんを強い目で見つめ、うなずく。



「よし!それじゃ、早速、髪を切ろうか。」


ハルさんは、公園備え付けのイスから立ち上がり、ブルーシートの家に戻っていく。


私もハルさんの後ろを強い決意を心に秘めて歩いていった。