「小夜、急げよ!」
真木ヒナタに急かされ、私は、いまいち決断できないまま、円の中にはいった。
真壁純と向き合うと、私の倍くらいあるように感じる。
「殺すぞ!」
真壁純が脅してきた。
「殺せるもんなら、殺してみろや。」
私の隣の真木ヒナタが返す。
(・・・もう、これ以上、相手を挑発しないで。)
私の願いは当然、真木ヒナタには通じない。
私と真壁純が向き合い、真木ヒナタが、「はっけよい・・・・のこった」と言い切ったと同時に私は、「あっ!」と大声をあげて立ち上がる。
思わず真壁純の動きが止まる。
「なんだよ、小夜。でかい声だして。」
文句を言ってくる真木ヒナタは無視しておいて、私は、真壁純に声をかけた。
「そういえば、まだ、挨拶してなかったから。はじめまして、三河小夜です。」
私は、そう言って、右手を真壁純に差し出す。


