「・・・わかってるよ。小夜!行くぞ!」


組長は、私の手を掴み組長の前に立たせると、私の背中を押しながら、人垣のある車へと近づいていく。


「えっ?えっ?あの、俺も・・・ですか?」


「ああ、隣に龍一に乗られて説教食らうより、小夜が隣の方が100倍いいからな。」


組長は、してやったり顔で執事を見た。


「・・・バカだな大和は。わざわざ2台、車があるのに、小夜を隣に乗せたら、執事がその車の助手席に絶対乗るのに・・・結局、説教コースだろ・・・」


そんな得意気な組長に真木ヒナタが言葉の一撃を食らわす。


「・・・え・・・そうなの?」


呟きながらも、すでに車の目の前まで歩いてきていた組長と私は、そのまま後部座席に座る。


そして、助手席には当然、執事。


「それでは、場所に着くまでの間、教育を開始いたしましょうか。」


「・・・だから、お前のは調教だってば。」


組長のむなしい独り言が、夜の町に悲しく響く。


そして、その独り言を残し、車は発進した。