外では、組の車が2台、ビルに横付けされていた。


6人の組員が後部座席までの道を作っている。


真木ヒナタとポチが、車に乗らずに止まっていた。


「どうしたんですか、真木さん?」


私は、真木ヒナタを見た。


「ああ、あれ組長が安全に車に乗れるように人の壁つくっているのに、俺が先に乗るわけにはいかないからな。」


私は、ポチが言っていた言葉を思い出した。


組長は、命を狙われている。


それを防ぐための人垣。


私は、今さらながら、やくざの家に勤めていることを実感する。


組長が執事に連れられてやってきた。


「おっ、みんな、こんな所で止まってどうしたんだ?」


組長は、真木ヒナタ、ポチ、私と順に見る。