あの時、多分初めて兄貴を、スーパーヒーローじゃない一人の人間として、理解出来た気がする。

何も、兄貴のせいじゃないとも言えなかったけど、俺は俺という一人の人間として、兄貴の罪を背負っていく覚悟が出来た。


凜、君ともそうしてきちんと向き合っていきたい、と。

それでも、何度も迷った。
また、君を傷つけてしまうんじゃないか、と。


その中で、今この手紙を書いているのは、今日で兄貴が出所してから1年になるからです。

このことは、正直、君に話すべきか迷った。

この1年、兄貴は社会復帰して、世間の目に晒されて、しんどいこともあったと思う。

だけど兄貴は弱音を吐かなかった。
「これが俺の犯した罪だ」と言って。
俺も、もう逃げない。
決めたんだ。


だからもう一度だけでいい、君と向き合いたかった。

だから、勝手を承知でこの手紙を書きました。


俺のただひとつの望みを、ただ聞いてほしくて。


凜、今幸せですか?