村西さんの隣には周もいる。
最初周は『外そうか』とも言った。
だが村西さんにしても、俺にしても、周がいた方が落ち着くので、結果、周と村西さん、俺という2対1の形で向き合って座った。


村西さんは、話はじめる前に、封筒を一通差し出した。
そこには女の子独特の丸っこい字で、『倉嶋洋平様』とだけ記されている。

俺が封筒を手にとると、村西さんは口を開いた。

「凜からです。」


俺は驚きながら、急いで封筒の口を開けた。
中から手紙を取り出そうとしていると、村西さんが言葉を重ねてくる。


「凜、引っ越すそうです。」

「…は?」

驚いて、手紙から村西さんの方へと顔を上げた。