彼の話はこうだった。

ずっと付き合っていた彼と、同棲をしていたのに浮気され、仕方なく身を引いて日本に帰ってきたのだと。

それが私には理解できなかった。

彼は、

「好きだからこそ身を引いたんだ」

と笑ったけれど。

私は好きだからこそ受け入れられなかった。

好きだからこそ許せなかった。

「あなたって変わってるわ。オモセッスアーレって絆が深いんじゃないの?その男も許せないけど、あなたもあなたよ。どうして引き下がれるの?」

「…だから…それは…」

彼は苦笑いを浮かべた。なぜかそれが無償に腹が立った。

「あったまキタわ。そいつの所に案内して」


彼女は立ちあがって僕を見下ろして言った。


僕が返事をする間もなく、彼女は歩いて行ってしまった。