Lの境界線


「……やっぱそれ、そいつの勘違いだよ」

唐突すぎて呆気に取られた。
勘違い?何を言っているんだこいつは。

「考えてもみろ、面識の無い奴をいきなり本気で好きになれるなんて滅多にないだろ。たぶんそれ、loveとlikeを勘違いしてる」

loveとlike。
愛してると好き、ということだろうか。

「よっぽどお前の印象が良かったんじゃねーの?まぁよくある事だよ、そういう勘違いとか、恋に恋するとか」

マコが私を励まそうとして言っているのかは定かではない。
だが、あまりに納得の行く内容に私の罪悪感は何処かに吹き飛んだような気がした。
単純すぎる気がしたが、よく考えてみたら意外と事実かもしれない。

罪悪感が一気に抜けて何だか虚しくなった胸中に、マコの言葉を思い出して、今度は別の疑問が浮かぶ。

loveとlike。
今まで深く考えなかったが、この二つの違いは一体何なのだろう。

「ねぇ、んじゃさ、その……loveとlikeの違いって何なの」

「違いってそりゃあ、」

得意気に答えようとして、マコははて、と言葉を止め、考えだす。

……なんだ、マコも知らないのか。

まぁ私も偉そうに言えないわけだが。
その違いに関してはけっこう気になる。
loveとlike。一まとめに好きと言えば単純だが、それではいまいち違いがわからない。
愛してる、と、好みである。そう定義付ければ明確になる。だが、何だか違う気がする。

そもそも、だ。

好きとは、愛してる、とはどういうことなのだろうか。