開け放たれた扉の奥には、たくさんの人で賑わっていた。

どこからどう見ても、メンズ向けの洋服屋さんである。

「あ、あの……」

 こんなところに連れてきて一体何をしようと言うのだろうか。

ソウの欲しがる服を買ってあげる、とか?

戸惑う私に構うことなく、ソウは背中に手を添えて促してくる。

ふわりとクーラーの冷気が流れ出し、心地よさからふらふらと店内に足を踏み入れた。

「いらっしゃいませ」

 棚の洋服を整えていた男性店員がすぐに気づき、にこりと笑う。

髪はオレンジブラウンに染められたショートヘアスタイル。

薄いグレーのインナーに、くったりとした暗めのデニムシャツを羽織っている。

腰には赤いストールのようなものを巻いており、細めのパンツに黒のブーツを履いていた。

ベルトとネックレスは同じデザインのものを使用しており、細身ですらっと背が高い。

おしゃれなお兄さん店員である。

「かっこいい……」

「ありがとうございます」

 ついぽろりと心の声が漏れてしまい、はっとしたときには店員さんがにこにこと笑っていた。

「おつかれさん。問題なかったか?」

 ソウが親しげに店員へと話しかける。

「おつかれさまです! 問題と言うか……店長がいないとお客さんまで落ち着かないみたいで」

 店員さんが笑いながら話している。

顔立ちはちょっとイケメンかなという程度だが、そこそこ背も高く細身だし、女性にかなりモテるタイプだろう。