動きの一つ一つが丁寧で、きちんとした人なんだなと思う。

ふと、こういうところはソウに似ているんだなと気づいた。

長く一緒にいる恋人同士は、だんだんと似てくると言うけれど……。

勝手なことを考えているとは思うのに、私には関係ないとすぐに切り捨てることができない。

勘繰りたいわけではないのに、なぜか二人を見ると気持ちが落ち着かないのだ。

そういえば、まどかさんと話していたときはわからなかったが、彼女は珍しく私が見下ろすことなく話せた女性だ。

ほっそりして見えるけど、身長はかなり高いはず。

長身のソウと並んでも、身長差に違和感を感じないほどに。

ソウとまどかさんが向かい合う姿は、誰も入り込めないような雰囲気が漂っていた。

まどかさんと接して浮上した気持ちが、少しだけ落ち込む。

「ありがとな、まどか」

「うん」

 短いやり取りに、親密な関係がうかがえた。

どうして私は今、嫌だと思ってしまったんだろう。

ソウは私に手を差し伸べてくれた人で、まどかさんは私の心に落ち着きを取り戻してくれた人だ。

二人とも私にとって、すでに十分な恩人なのだ。

扉を閉める直前、まどかさんは小さく手を振って私たちを見送った。

ソウも軽く手を上げてそれに応じた。

たったそれだけのこと。

たったそれだけのことなのに。

私はさらに落ち込みそうになる気持ちを必死に抑えて、ぐっと前を向いた。





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