私は名前も知らない人間にのこのことついてきてしまったことを恥じると同時に、ハッとあることに思い至る。

まさかこの和風美人、ソウの彼女ではなかろうか。

心配する私をよそに、ソウは私の手にあった生ゴミだらけのシャツを示した。

「クリーニング頼みたいんだけど」

 カウンターから身を乗り出して私の手元を見た和風美人は、ゴミに塗れたシャツを目にして一瞬目を見開く。

それからちらりと私の顔に目を向けると、美しい顔を歪めてソウを睨んだ。

「一体、何をどうしたらこんな状態になるのよ」

 白魚のような手を伸ばして、彼女は私からシャツを受け取ろうとする。

「あの、でもこのシャツ、生ゴミを包んでる状態で……」

美しい手が汚れてしまうのは気が引けた。

後悔しても遅いが、せめて生ゴミだけでも外のゴミ箱に捨ててくればよかったのに。

私と言う女はどこまで気が回らないのか。

「それをきれいにするのが私の仕事なの」

 和風美人がくすりと笑って、私の手からシャツを奪い取る。

ワゴンの中に入れず、直接裏の作業場へシャツを持って行ったようだ。

簡単に汚れを確認したのか、すぐに戻ってくると、カウンター脇にある扉を開けた。

「手、気になるでしょう? ここ使ってちょうだい」

 扉の先には綺麗なパウダールームがあり、さらに奥には女性用のトイレもあった。

至る所に女性らしい、細やかな気遣いが感じられる。