「ここがクリーニング屋さん?」

 白く塗られた扉の脇には小さな黒板が置かれ、そこには確かにクリーニングと書かれている。

一歩前に立った男が、扉を開けて私を振り返った。

扉についた小さなベルが、りんと音を鳴らす。

「どうぞ」

 この男はどうしてこう動きの一つ一つが洗練されているのか。

レディファーストに慣れていない私は、動揺を押し隠して店内に入る。

大きな窓からの光が差し込む店内は、薄いミントグリーンと白で統一されており、明るく爽やかな印象だ。

直射日光の当たらない場所では、ビニールに包まれた服のようなものが吊るされていて、預かった服を入れるワゴンらしきものも見える。

また、入ってすぐの脇には小さなテーブルと椅子が用意されており、壁には価格表や営業許可証のようなものが張られていた。

おしゃれな店に思えたものの、装飾品のようなものは置いていないようだ。

外観からは想像もつかないが、店内は完全にクリーニング屋であった。

「いらっしゃいませ」

 ベルの音が聞こえたのか、白いカウンターの奥から女性が姿を現した。

艶のある黒髪を一つにまとめ、薄い青のシャツに黒いエプロンをつけている。

人によってはきつい顔立ちに見えるかもしれないが、切れ長の目元に透明感のある白い肌が涼やかな和風美人だ。

彼女は男の隣に私を見つけると、驚いたように目を見開いた。

「ソウが女を連れてくるなんて」

 男はソウという名前らしい。