小さく微かに聞こえた声を、聞き返す。
「ん?」
「どうしようっ!誰かなっ!?隆起君の気になる人って!!」
眉を中心に寄せ、不安そうな顔であたしに言う。
「いや、わかんないけど……」
「あ゙ー……どうしよー!!」
手で顔を覆ってオロオロしだしたかと思ったら急にパッと手をどけ、
「いや、まだ気になる、ってだけだよね……?ならまだあたしにもチャンスあるじゃんっ!」
とさっきとは打って変って明るい顔で言った。
「なんか……逆に燃えてきたっ!!」
ガッツポーズをしながら気合いを入れる紫苑ちゃんを見ながら、なんてマイペースなんだって思ってしまった。
まぁ、そこが紫苑ちゃんのいいとこなのかな。


