お母様の部屋へ行く間中、あたしの足は震えていた。 言ってしまえば、認めてもらおうがもらわないが、あたしには関係ないこと。 でも、今日この一日のデートで本物の“恋人”に見えててほしくて、 “嘘”だけど、“偽り”の恋人だったけど、 本当の恋人に、認めてほしい―――……… 「奥様、秋さんたちがお戻りになりました」 その言葉にハッと我に返った。 「どうぞ」 お母様の声がいつに増してきつく聞こえる。 今日初めて会ったけど………