セクハラ彼氏は会社の上司


驚きで手を見つめるあたしに秋さんはもう一度

「ほら、手でもつながないと怪しまれるだろ?」


あたしは戸惑いながら、大きな秋さんの手に、自分の手を重ねた。

普通につないだはずなのに、秋さんによって指を絡めた恋人繋ぎになって、全神経がそこに集中する。



どうしようっ……絶対手汗ばんでるよー!!!

「ははっ!玲那ちゃん緊張し過ぎ!!」

「だ、だって……」


こんな、こんな……



“嘘”でもいい、“仮”でもいい、秋さんのそばにいれるなら―――


この時あたしはそんなことを思ってしまったんだ。