セクハラ彼氏は会社の上司


「次どこ行こうか」

「うーん………」



考えながら、ふと思った。

そういえばお母様のことをすっかり忘れてしまっていた。


さっきのお腹つままれたのも見てたよね……?

そう考えると、顔が熱を帯びたように赤くなった。


そんなあたしを不思議に思った秋さんが、あたしの顔を覗き込みながら言った。

「どした?顔赤いぞ???もしかして、俺に惚れた?」


いつもなら、『違います!』って否定する。

でもなぜか、その時あたしはなにも言わなかった。

言えなかった。



なにも言わないあたしに、秋さんは

「ほら、手かして」

そう言って手を差し出してきた。