家の中は予想通り和。



畳の部屋しかない。

「奥様はこちらです」


美枝子さんと秋さんの後をついていく。


うっわー………

緊張するー……
いくら偽の彼女だからって、彼女の“フリ”しなきゃだもんねー………


大変だ。


「奥様。秋さんの彼女さんがお見えになりました」

障子の向こうの“奥様”に美枝子さんが言う。


「どうぞ」

優しいような、でもどこか棘のある声が中から聞こえた。

それを聞いた美枝子さんは障子を開け、どこかへ行ってしまった。


まぁ、一緒にいるのもおかしいんだけど……


秋さんに続いて、あたしも部屋に入る。

入った瞬間に鼻に入る畳の独特の匂い。


この匂い好き……


そんなことを思ってると、秋さんがあたしを紹介し始めた。