ピッピッ、ピピッ。

「ウォッチ、見て?」


「…?!!お前…。」

自分のウォッチをのぞく洋一。

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緑木 葵
→100,000,000
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全財産を洋一に送ったのだ。


「これで、あなたは完璧に有利よね?
うちが死んでもあなたに全財産があるから―信じて…うちを。
役に立たないかもしれない。
でも、絶対に二人のほうが有利になるはずだよね?」

なんて、女だ。
根負けだ。

「わかったよ。
やれることはやろう。
ただ、あまり周りにばれないように行動しよう。
これが、約束だ。」

「ありがとう!!うん!
よろしくね!洋一!」

「洋一って…」

「うちのことは、葵!」

「わかったわかった。葵な。」


どうやら葵は、人懐こい奴らしい。
21歳のくせに多額の借金があるらしい。

オレは、記憶喪失のことを隠し、嘘を並べておいた。

ただのフリーターと…。






コンコンッ。


誰かが洋一の部屋にノックした。
「…??葵、そっちにいろよ。」
部屋の端に葵を追いやって、ドアに向かった。