偶像童話

「ずいぶん都合のいい事を言うのね」



「そうかも知れない。


だけど、それしか出来なかった。


仕方なかったんだ。


わかってほしい」



「わかってる。


ごめんなさい。


少し意地悪を言ってみたくなったの。


あなたが彼女を思い出して、悲しそうな声を出したから」



「僕は…」



「言わなくていい」



「だけど…」



「わかってるから。


あなたはちゃんと私を見てくれてる。


私だけを。


そうでしょう?」



「そうだよ。僕は君だけを見てる」



「私は幸せ者ね」



「僕だって幸せ者だよ」