偶像童話

「苦しかった。


それでも私は彼女を離さなかった。


むしろ余計に力が入って、私の親指の爪が彼女の白い首筋にめり込んだわ。


滲み出る赤い血を見た瞬間、私は意識を失った」



「僕も苦しかったんだよ」



「私を想って?それとも彼女を想って?」



「彼女に死んで欲しくなかったし、君を人殺しにしたくもなかった。


だけど、君を止めるには君の心臓をどうにかする事しか僕には出来なかったんだ。


殺すつもりなんてなかった。


君が気を失ってくれれば、2人とも傷つかずに済むと思ったんだ」