じんじん。

“コンコン”




ドアを叩く音がして、お母さんが顔を覗かせた。




「莉愛、もう行くの?何か食べていく?」



「あ~…いい。あんまり時間ないから!」




散らかった服を片付けながら答える。
「そぉ?」と言いながらも、扉を閉めようとしないお母さん。



「…どうしたのお母さん」



「ちょっと…」




お母さんは扉の隙間から軽く手招きした。