じんじん。

「あたしっ!好きな人、いるよ。…でも、陣ちゃんの知らない人だから!」




恥ずかしくて、前をむき直して早口で言った。




“知らない人”なんて
小さな嘘だけど、
本当のこと言えるわけないじゃん。




「…へぇー、いるんだ」




「う…ん、まあね」




なんだか少しぎこちない会話にあたしはフッとそばのショーウインドウに目をやった。