5時間目の授業が終了し、休み時間になった。
「よし、二人で手分けして実羽を捜すぞ。」
俺は席を立って吉井に呼び掛けた。
「待って!その前に…
あんたのファンに実羽のこと聞いてから」
吉井はそう言って、俺のファンと思われる谷口達の所へ行った。
「…実羽は?実羽はドコ?
知ってるんでしょ?!」
「柏原さん?知らないけど。」
「嘘つくんじゃないわよ!
あんた達の仕業だってことは分かってるんだから!
やり方が汚過ぎるわよッ」
「……………。」
口をつぐんで黙る谷口。
「吉井。」
俺は吉井の名前を呼びもう行くぞ、という仕種をした。
それで吉井は一瞬谷口達をギロッと鋭く睨みつけてから教室を出て行く。
「…俺さ、あんま陰険なの好きじゃないんでね。
悪いことは言わない―…
でも…
今後一切実羽に手ぇ出すな。」
俺は谷口達取り巻きにそれだけ強く言って教室を去った。
―クソッ。何をやってんだよ俺は!
実羽は今頃、一人ぼっちで何処かで…
待ってるんだ。
何で目を離したりなんかしたんだろう。
何で気付いてやれなかったんだろう。
実羽が大事なのに、守りたいと思ってたのに…。
実羽を一人ぼっちにさせてたまるかよ!
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