魔界の城に侵入すると、剣を持ったサラが目に入った。


城の中は半ば崩壊していて、どういうわけかウェーファー様とジゼル様が倒れている。


――さかのぼること半日前


学校にいた俺達に魔界側は奇襲をかけた。


不覚だった。



魔王がサラを追っていることに気が付かなかったのだ。


“魔王よ、私を魔界に連れて行け”


サラの言葉に失望した。


ちゃんと考えているのか?


でも去り際に、

“アイシテル”

声を出さずに彼女はそう言った。


俺達は、地上へ降りると先生のもとへ行き、ただ“帰ります”とだけ言って、魔界に来たのだ。――