マダムは徐に懐からあるものを (文明の進化の賜物とでもいっ ておこうか)取り出すと、 「……もしもし? 私、スーザンで御座います──」 何やらスーザンは、掌に握る細 長く硬い物体に話しかけた。 そんな彼女を、短期アルバイト として初めて城内に入り説明を 受けていた下級兵達は不思議そ うに眺めていたが、 そんな彼らを案内していた上級 兵、すなわちこの城のいろはを 熟知している兵士は、 「またか」 と感想を漏らし、にこやかに微 笑んでいた。