日はもうすでに西のほうへ傾きかけている。


日中の暑さも少しずつ薄れてきたようで


あたりはうっすらと暗かった。


俺は家が近所の翔哉といつものように帰り道を歩いていた。


「暑いなー・・チャリ通うらやましいぜ」

俺がそうつぶやくと


「だな」

と翔哉は言った。


俺は白いYシャツをパタパタと胸元で動かし


汗が染み付いた体操服が入った袋を片手に


水筒からお茶を口へ入れた。


テンポよく流れ込む水分は


練習で失われきった俺の水分を瞬く間に補っていく。


「なあ祐真。」


翔哉が俺に疑問を投げようとしている


「何だ?」


俺はいったん水筒から口を離し、また口をつける。



「お前・・あの年上女に惚れただろ。」


「うぐっ・・」


俺は思わずお茶を噴出しそうになる。



「・・図星だな。」


翔哉の言葉がグサリと音をたてて刺さるのが分かった。


「んなわけねーだろ、俺、女なんか興味ねぇし。」


俺は翔哉へ必死の反論。