キーンコーンカーンコーン


みんなチャイムと同時に座りだした。

もっと早く座れ。
授業時間が減る。

「み、みなさんおはよぉございまスッッ」


・・・。



「鰯ちゃぁん!」
「かわい~」


ケバい女子め。
鰯に気安く「ちゃん」つけんな!


「え・・っと」


どうしたんだろ?
ホームルームはテストなのに・・。





鰯が座り込んだ。

「先生~どした?」
「鰯大丈夫!?」



本当。
大丈夫かな?
倒れたりしないよね?



「ゲホッ…」



その時、私は無意識に立ち上がっていた。



「鰯!保健室行こ!捕まれる?」



「な、仲森さん・・」


「雀!あたしも手伝う?」


唯ちゃんが声を掛けてくれた。だけど私は


「大丈夫!テスト勉強してていいよ!」


って言って置いてきちゃった。
だって・・・

「素」の鰯が…


もう一度、見たかったら…


廊下に出ると、鰯はさっきまでの
苦しそうな表情をいつもの表情に戻し、鼻を摘まんだ。


へ?


苦しいんじゃないの?


「やっぱりな。」


「え?あの・・」


「何?」


またドSな顔してニヤリと笑った。



「・・苦しいんじゃ・・?」



「別に。あの教室香水臭ぇから早く出たかっただけ。」


・・・何なの。


私が体を張って抱えてきたのに。



この男は・・!!





「あと…」

わぁ!!



下を向いてた私は顔を上げた。



すると、私を見下ろす鰯の顔が間近に…。



「お前、俺の事見てたろ。」



「・・なっ!!」


「じゃっ!そろそろ俺行くわ。」


そう言ってスタスタ行ってしまった。



バ、バレ…た?

見てた事…

そりゃ目合ったけどっ…
って…



私は何言って…!?



「あっ、そーだ!」