彼は職場に歩き出す…


彼女は布団に潜り込む…


二人は雨と同じように涙を溢す…


今日という1日はいつもの倍以上ゆっくりゆっくり流れている…


早く時が流れてくれれば…


という気持ちと裏腹に…


じわじわと互いの心を締め付ける…


昨晩から二人の時間は違う場所だが同じような心境で流れている…


時はたち…雨は小雨に…だが気持ちは更に深くに堕ちる…


たった1つの出来事から気持ちは奈落のそこへ…


必死に這い上がろうとする心とは裏腹にまた傷ついてしまうかもという臆病さ…


彼はその気持ちとの戦いを終わらせた…


彼女に再度電話をかける…


彼女も勇気をだして…電話に出る…


「はい…」


その一言で彼は今までの重たく冷たい世界から抜け出せた…


次は彼女をその世界から出してあげる番だ…


「昨日…ゴメン…」

彼女は涙をまた溢した…


しかし今までの涙とは違い…嬉しさから溢れた涙だ…


そして彼は電話をしながら会社の窓を…


彼女も電話をしながら部屋の窓を…


お互い空を見上げたら…


雲の隙間から光が射しているが見えた…


そして…二人は同時に…


「もうすぐ雨がやむね♪」


電話ごしに二人は笑った…


二人が昨夜の場所に着く頃には木漏れ日が二人を包んでくれるだろう…