「あぶない!」 僕は、普段あまり大きい声を あげないタイプだ。 だが、その時は、自分でも びっくりするくらい大きな声が でていた。 彼女は、僕の方を見上げた。 彼女にも見えたはずだ。 美咲が、足を出して、つまずかせようと した事を。 彼女は、何もなかったように、 僕の隣に座った。 僕は、「大丈夫?」 と聞いていた。 彼女は、何も答えなかった。 それでも、僕は嫌な気がしなかった。