抵抗することもなく、俺はそのまま固まっていた。
触れられているところが、妙に熱い。
「……」
その時、愛美の顔が一瞬、悲しげな表情をしているように見えた。
「…な、なぁ…まな」
パァン!
「ブッ!?」
急に頬にビンタをくらう。
文字通り面食らった俺は訳が解らん、と愛美を見た。
「殴られても大丈夫だったんならこれくらい平気でしょ?」
愛美はさっきとは打って変わり、明るい表情をしていた。
憎たらしいくらいの笑顔だった。
「は、はぁ?意味わかんねぇよ」
「さ、ぼーっとしてないで行くよ?遅刻しちゃう」
そういうと愛美は立ち止まっている俺を置いてさっさと歩き出した。
…気のせいだったかな……
俺はモヤモヤとした疑問を振り払い、愛美の後を追った。

