心拍数が上がる。
俺は恐る恐る愛美の次の言葉を待った。
「ほら…殴られたでしょ?大丈夫かなって…」
…なんだ…その事か。
俺はホッと胸を撫で下ろした。
「あぁ大丈夫大丈夫!」
一瞬バレたのかと思ってヒヤリとしたが、どうやら気付いてはないみたいだ。そう思った俺は陽気に答えてみせた。
「ホント?腫れては…ないみたいね」
「まぁちゃんと冷やしたからな!」
すると愛美は立ち止まり、スッと俺の頬に手を近付けてきた。
殴られた箇所に、その手は優しく触れた。
ドキリとまた心拍数が上がる。
「ちょ…な、なんだよ。大丈夫だって」
愛美はなにも言わず、無言で俺の頬を小さく撫でた。

