「それより…ねぇ歩人?」
愛美が単語帳をめくる手を止め、俺に顔を向けてきた。
「ん?」
「この前の事なんだけど…」
その言葉にビクッと俺は息を飲んだ。
同好会初の作戦、「大救出」が先日行われた。愛美がその事を言ってるのを、空気を察知してよんだ。
結局失敗に終わり、当の愛美には不信感の芽を植え付けただけ、という最悪の結果に終わっていた。
「あ、あぁこの間の事ね!驚いたろー?ははは…」
急にその話題を出されたせいか、俺は動揺を隠し切れてない反応をした。
「そうじゃなくて、冴島君の事!」
「え…?」
冴島…?
まさか…やっぱりバレてたのか…?

