──五月の半ば。




俺達の学校は中間テスト前日を迎えていた。



明日は中間テスト当日。



テスト前日にも関わらず、いつも通り愛美は俺を起こしにきてくれ、自作の英単語帳をパラパラとめくりながらの登校中であった。




「…今更詰め込んだって焼け石に水だって。やめとけやめとけ」



とっくにテストを諦めた俺は、隣でブツブツ言っている愛美に悪魔の囁きをする。



「…最初のテストって不安じゃん。どのくらい難しいかわかんないし。だからあたしはギリギリまで粘るの。諦めたらそこで試合終了だよ?」

「どこのバスケットの監督だよ!バカだなぁお前、諦めが肝心って言葉もあるんだぞ?勉強ってのは日々の積み重ねだ。ギリギリになって詰め込んでも意味ないんですよ〜」

「それはその日々の積み重ねをしっかりしてる人のセリフだよ。歩人のはただの開き直りって言うんだよ」

「………」



確かに俺は同好会の活動ばっかしてて、勉強という勉強はまったくした覚えがなかった。


焦っても仕方ない、と開き直っているのは事実だ。