「まぁ…よくはねぇだろよ」

「だったら……」


葉が言いたい事はわかる。

だが、俺の決心は少し前から決まっていた。



「…あいつ、見てみろよ」

「…?」



俺は未だ倒れている冴島を親指で指した。



「あいつさ、バカでしょうもないヤンキーだけど…愛美に対する想いだけは真剣なんだよ。今もさ、最低って言われただけであんだけヘコんでんだ。それほど好きなんだろうな。愛美が…」



俺と葉は冴島を見る。

冴島は白目を向いて、間抜け面で地面に横たわっている。



「…同好会が出来て、毎日放課後に話し合いしてたけど…あいつの想いが本物だって分かった。…だからさ、俺に出来る事ならしてやろうかなって。
まぁ幸か不幸か俺は愛美のイトコだし、愛美の事は他の誰かよりは詳しいつもりだしな」



まぁ実際はよく知らないけど、と自分の中で付け足した。



言い終えると、葉は小さく笑った。



「…ははっ。お前はお人よしだな。なんだ?慈善活動かそりゃ?」



俺も葉と同じく小さく笑い、倒れている冴島をもう一度見た。





「…かもな」






──…兎にも角にも、俺達ML同好会の初となる作戦は、失敗という形で幕を閉じたのだった。







第3部 完