…だから愛美が冴島の話題を振ってこないのは好都合といえば好都合だった。
好都合なんだけど…やっぱりなにかひっかかる。
「…でさ、ユキったら最初気付かずにずっとメールしてたんだって!普通業者ならわかるよねぇ。あははっ」
──…相変わらずの笑顔で話してる愛美だが、その中で考えている事は全くわからない。
俺は長い時間愛美と一緒に過ごしてきた。
だけど表面上の事しか愛美を知らない。その内側にあるものはわからないんだ。
当たり前なんだが、考えている事がわからない。
でも長い時間一緒にいる分、普通以上考えてる事がわかってもいいくらいなんだけど
わからないんだよな。
そう思うと、俺と愛美が共に過ごしてきた時間が、とても薄い気がして
少しだけ虚しくなった。
「──…でね、……歩人?どうしたのぼーっとして」
「……ん、あぁ悪い。なんだって?」
「もぉー。まぁぼーっとしてんのはいつもの事か」
「んだとクラッ!」
俺は愛美の内側はわかんないけど、愛美はよく俺の考えてること当ててくるんだよな。
…単に俺がわかりやすいだけとか?

