「歩人(あると)〜!」
「うん、歩人。それは俺の名だ」
「なにワケわかんない事言ってんの」
愛美が呆れた様子で言う。この押川 愛美(おしかわ まなみ)は俺の母の姉の娘。つまり俺のイトコだ。
容姿端麗、頭脳明晰、おっちょこちょい、の三拍子揃った女の子だと葉がい
「ちょっと!おっちょこちょいってなによ!」
「おま、人の心読むなよ!」
そう葉が言っていた。俺はちっちゃい時から一緒にいたから、意識したことはなかったが。
「そのまま上手いこと流したね…」
「だから読むなっつの!…で、なに用よ?」
「べっつに〜。ただ今日は遅刻せずにこれたかなって!」
悪戯っ子のような笑みを浮かべながら、愛美は聞いてきた。

