「よぉし!今ここに!ML同好会ぃぃ……」



そう言って冴島は手の甲を俺の目の前に突き出してくる。


俺は意味不明、と首を傾げた。



「…何してんだよ!アレだよアレ!『オー!!』ってヤツ!」



…なんだそりゃ。


スポ根漫画かなんかの見すぎじゃねぇのか?



「ホラ早くしろよ!」



冴島が躊躇っている俺を急かす。


もう…腹くくるしかないか。



「…ハァ。わかったよ」



冴島がニッと笑う。



しょうがねぇな…


ここまで来たら付き合うしかねぇ。


意を決して俺は立ち上がり、渋々と手の甲を冴島の手の上に重ねた。




「今ここにぃぃ!ML同好会ぃぃ!設立ぅぅ!!」





「オー!!」
「おー」





俺と冴島は空に向かって手を振り上げた──






──…たった二人で結成したこの小さな同好会



この日が俺達を嵐のような日々に巻き込む



始まりの日であったのだった…──








第2部 完