「あれはまだ中学生だな…」
龍が思い出すように目を閉じる。
中学生?守備範囲内だったのか。
「多分部活行く途中だったんだろーけど、俺は見事射ぬかれたよ」
でもそういう人が現れてくれたから、付き合った俺と愛美を見ても動揺がほとんどないのかな。
その中学生に感謝。
「どこの学校かは見えなかったけど、制服にネームプレートあってさ、名前はバッチリ記憶したぜ!」
ウィンクして親指を立てる龍。
なんか…嫌な予感。
「確か…なかむら…」
…なかむら?…おい。待て。
「中村…さよちゃんだ!間違いねぇ!」
…切り替えが早いのは助かる、って思ったけど、訂正。
感謝も訂正。
「ん…?そういやお前も中村だったっけか?」
嫌な予感が的中した。
俺はどこまで、コイツにつきあわなきゃなんないんだ!
それに今回は無理だ!毎回無理矢理行ってた作戦だけど、今回は本当に無理!
もう俺を巻き込まないでくれ!
もう……
「…もうやめてくれぇぇ!!」
完