ヤンキーと俺と恋と



…だが、その期間中でも、"俺と愛美がイトコだから"という理由で、龍が愛美に近づいた事は一度もない。

最初にイトコだと伝えた時は驚いていたが、それだけだった。

つまり"イトコ"である、という事を気にしてたのは…──



「──"イトコ"って関係を、あたしは複雑に考えてた」



愛美が呟く。

…複雑に考えていたのは、俺もだ。

"イトコ同士"は当人達が一番気にしているのかも知れない。



「…でも、それは独りよがりだったね…」



考えすぎ。

俺と愛美はイトコ。


それだけ。普通の男と女に毛が生えた程度。



「……歩人」



愛美が改めて俺を見た。

何か吹っ切れたような、清々しさがその表情から感じ取れた。

…きっと、俺の表情も…──



「──こんな優柔不断だけど…こんなあたしで、良ければ……





…お願いします」