ヤンキーと俺と恋と



「イトコ同士って関係じゃ越えられない、高いハードルがある…」



これは想像だにしない高さだ。越えられる気が、全くしない。

…だが、俺はそんな状態を…そんな高いハードルを…



「…だったらそのハードルを、下からくぐり抜けちまえばいいじゃないかって、俺は思う」



"ハードルは高ければ高いほどくぐりやすい"

どこかで聞いたような言葉が過る。

…そうだ。ハードルを越えて行く人もいれば、くぐり抜ける人もいるんだ。



「…俺は、もうハードルをくぐった。後は愛美だ。こんな発言しといて、『ここまで来るのを待ってる』なんて悠長な事言ってられねぇ」



俺は愛美を見つめたまま立ち上がった。



「愛美…手を出してくれ。世間の一般論なんかに左右されないでくれ。…俺の方に来てくれ。


俺と…」



真摯な眼差しで、愛美の顔を見つめる。

沸き上がる、感情。

その感情に身を任せるように、頭を下げた。




「…俺と、付き合ってくれ!」