永遠とも思える一瞬を、聞き慣れた声が破る。
聞きたかった声、俺が欲していた声。
…なのに、対した俺の声は、ハッキリしたその声に相反するように鈍重を辿る。
「…あ、あのー…」
『はい?』
何とか絞り出した声。素っ頓狂な声だけでは誰だか判別できなかったろう愛実は、今度は疑問符付きで尋ねてくる。
「…お、俺…歩人、だけど…」
『歩人?どうしたの?』
「…あの、今…ちょっといいか?話したい事が…」
『話したい事?ちょっと待ってて』
インターホンの切れる音。
間。さっきよりもさらに緊張感が高まる間。
玄関の鍵が開けられる。ドアが少し開く。
愛実がいる。
私服に着替えている。もうどこかへ出掛ける予定があるのか。
それなら、今日伝えるのは止めといた方がいいんじゃないか?

