閑静な住宅街。
犬の散歩だと思われる主婦が、すれ違い様に俺の顔を二度見してきた。
俺は今、どんな顔をしてるんだろう。
緊張?
焦燥?
期待?
…いや
その全てだ。
これからする事への緊張があり、やっぱり早すぎるんじゃないかと思う焦燥があり、龍が『大丈夫だろ』と言ってくれた期待がある。
それらがない交ぜになった顔をしてるんだろう。すれ違った人が驚く
のもわかる。
元に戻そうと心の奥で思うが、すぐにその考えは顔の表情筋に却下される。
顔面の筋肉が強ばり、まともに動くのは息を吐き、吸うだけの機械のような口元だけだった。

