ヤンキーと俺と恋と



…友達という存在について、それまで深く考えた事はなかった。


…だが──


龍はずっと一人だった時間が長い。

本当に一人きりな訳じゃないだろうが、心は"独りきり"だったんだろう。


──だから友達の存在は大きい。

龍の思考は今一度、俺に友達という言葉の重さ、その存在の意義を、改めて深く考えさせた。


…それにより、龍の溢すその言葉の意味もわかった。



「…俺は愛美ちゃんが好きだ。付き合いてぇ。他の誰かに譲るなんて考えたくもねぇ」



龍の声量が増した。

それに反応し、俺の背筋が伸びる。



「…だけどよ。そいつになら…」



くるりと体の向きを変えて、龍は俺と向かい合った。

龍の目が見える。何かを決意したような、強い瞳が。



「…お前になら、愛美ちゃんを……」



龍が言葉を切る。
一瞬の間。



「……愛美ちゃんと、一緒になることを、認めてやってもいいって、そう思う」