ヤンキーと俺と恋と




「…俺、愛美ちゃんの事、いつから知ってたか話した事あったっけ?」



龍が向こうを向いたまま聞いてきた。



「…入学した時とか、じゃなかったっけか?」



龍とは色々な話をしてきた。
その中にはそういった話題も含まれていたかも知れない。多分。

適当さが伝わってしまったのか、俺の当てずっぽうに龍は少し苦笑して、続けた。



「実はもっと前…俺がタバコを自販機で買ってる時に、愛美ちゃんが俺の後ろを横切ってったんだよ。一目惚れってのは変わんねぇけど、俺の人生の角度はそれから360度変わったな」



一周してるぞ、とそこで話の腰を折るのは自重した。



「それからは、勉強に集中できた。なんかそれまでフラフラとなんもしてなかったのに、バンと一本しっかりとした筋道がたったみてぇに、俺の目標がハッキリと表れた。あんな子が俺の高校生活に居てくれたら最高だ、あの子は頭良さそうだったから、きっとレベルの高い学校にいるんだ、なら俺は勉強を頑張ろう、ってよ」



単純だ。だが…その時の勉強の賜物なのか。龍が妙に頭いいのは。